チャイルドシートは何歳まで使うのか。法律上の義務は「6歳未満」ですが、6歳の誕生日で安全に卒業できるわけではありません。この記事では、道路交通法の条文そのものと、使わなくてよい8つの例外、6歳を過ぎたあとの判断基準を、警察庁・e-Gov法令検索・JAF・国土交通省の公式情報(2026年9月8日確認)だけで整理します。条文に実は「6歳未満」と書かれていない理由から説明します。
この記事でわかること
- 法律上の義務は何歳までか、根拠になる条文はどこか
- 条文に「6歳未満」の文字がないのに6歳未満が義務になる仕組み
- チャイルドシートを使わなくてよい8つの場合(道路交通法施行令の全列挙)
- 6歳を過ぎたあとの判断基準と、身長150cmという目安の出どころ
- ジュニアシート(学童用)への切り替え時期と、違反したときの点数の扱い
結論:チャイルドシートの義務は「6歳未満」。ただし6歳で卒業ではない
先に結論を3行でまとめます。
- 法律上チャイルドシートの使用が義務づけられているのは、6歳未満の子どもを乗せるときです(道路交通法第71条の3第3項)。
- 6歳になると法律上の義務は外れますが、警察庁は、6歳以上でも体格の事情でシートベルトを適切に着用させられない場合はチャイルドシートを使うよう案内しています。
- 卒業のものさしは年齢ではなく体格です。日本自動車工業会とJAFは、身長150cm未満を目安に使用を推奨しています。
| 子どもの年齢 | 法律上の扱い | 公的機関の案内 |
|---|---|---|
| 0歳〜5歳(6歳未満) | 使用義務あり(道路交通法第71条の3第3項) | 体格に合った乳児用・幼児用・学童用を正しく使う |
| 6歳〜(身長150cm未満) | 義務なし | シートベルトを適切に着用できない体格なら継続使用(警察庁)。自工会・JAFは身長150cm未満を目安に推奨 |
| 身長150cm以上 | 義務なし | 大人用シートベルトを正しい姿勢で。着用義務は全座席にある |
「6歳未満は法律の話」「6歳以降は体格の話」と根拠が切り替わります。以下、原典で確認していきます。

法律の原文で確認する|道路交通法第71条の3第3項
使用義務を定めているのは道路交通法第71条の3第3項です。警察庁のチャイルドシート案内ページにも同じ条文が掲載されています。
自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
— 道路交通法第71条の3第3項(e-Gov法令検索、2026年9月8日確認)
条文には「6歳未満」と書かれていない
読み返すと分かるとおり、条文に「6歳未満」という言葉は一度も出てきません。書かれているのは「幼児」だけです。
6歳未満という線引きは、同じ道路交通法の第14条第3項から来ています。そこで「児童(六歳以上十三歳未満の者をいう。以下同じ。)」「幼児(六歳未満の者をいう。以下同じ。)」と定義されています。「以下同じ」は、それ以降の条文でも同じ意味で使うという約束です。第71条の3はこれより後ろの条文なので、ここでの「幼児」も6歳未満を指します。
つまり「6歳未満が義務」という結論は、義務を定めた条文と年齢を定義した条文の2本立てで成り立っています。
「幼児用補助装置」とは何を指すか
条文が求めているのは、子ども用の椅子であれば何でもよいというものではありません。定義部分によれば、国の安全基準(道路運送車両法第3章とこれに基づく命令)に適合していることと、幼児の発育の程度に応じた形状であることの2つが必要です。車両側の基準は道路運送車両の保安基準第22条の5にあり、法令上は「年少者用補助乗車装置」という別の呼び方をしています。
売り場での見分け方は、国土交通省と警察庁が連名で出しているリーフレット「お子様を車に乗せる際の注意事項について」(PDF)に示されています。適合が確認されたものには「Eマーク」(例: E43)または「自」マークが表示されており、「『43』以外の番号が付されている製品も適合品です」と補足されています。
この確認がとくに効くのが、中古品や親戚からのおさがりを使う場面です。座面の側面や背面のラベルでEマーク・「自」マークを探し、見つからなければ使わない、という判断で構いません。あわせて製品名から取扱説明書を入手し、対応する身長・体重の範囲を確認してください(対応範囲は機種ごとに異なります)。
なお、どの座席にどう取り付けられるかは車種によって違います。後席の広さやチャイルドシートの積み替えやすさは、購入段階から想定しておくと後が楽です(初めての新車購入の流れ(8ステップと必要書類))。
チャイルドシートを使わなくてよい場合|施行令が定める8つの理由
条文のただし書にある「政令で定めるやむを得ない理由」とは、道路交通法施行令第26条の3の2第3項のことです。第1号から第8号まで、免除されるのは次の場合だけです。
| 号 | 免除される場合(要旨) |
|---|---|
| 第1号 | 座席の構造上チャイルドシートを固定して用いることができない場合(他の座席で使わせられるときを除く) |
| 第2号 | 運転者席以外の座席の数以上の人数を乗せるため、乗せる幼児の数だけのチャイルドシートをすべて固定できない場合(定員を超えないときに限る) |
| 第3号 | 負傷または障害のため、使用させることが療養上・健康保持上適当でない幼児を乗せるとき |
| 第4号 | 著しく肥満しているなど身体の状態により、適切に使用させることができない幼児を乗せるとき |
| 第5号 | 運転者以外の者が授乳など日常生活上の世話(使用させたままではできないもの)をしている幼児を乗せるとき |
| 第6号 | バス・タクシーなど一般旅客自動車運送事業の自動車で、その事業の旅客である幼児を乗せるとき |
| 第7号 | 道路運送法第78条第2号・第3号に該当して人の運送に使われる自動車(特定の者の需要に応じて運送の用に供されるものを除く)で、その運送のため幼児を乗せるとき |
| 第8号 | 応急の救護のため、医療機関や官公署などへ緊急に搬送する必要がある幼児を搬送のため乗せるとき |
出典: 道路交通法施行令第26条の3の2第3項(e-Gov法令検索)、2026年9月8日確認。上記は条文の要旨を平易に書き直したものです。
読み取れるのは、免除がかなり限定的だということです。「急いでいるから」「近所のスーパーまでだから」「子どもが嫌がるから」は8つのどれにも当てはまりません。第2号も「全員分は物理的に固定できない」ことが前提で、空いている座席があるのに使わない場合は該当しません。第5号の授乳・おむつ替えで免除されるのは世話をしているその間だけで、終われば戻す必要があります。
6歳を過ぎたら何を基準に判断するか|身長150cmとベルトの当たり方
6歳で法律上の義務は外れますが、それは「安全になった」という意味ではありません。警察庁はチャイルドシートのページで、はっきりこう書いています。
6歳以上の子供であっても、体格等の事情により、シートベルトを適切に着用させることができない場合は、チャイルドシートを使用しましょう。
— 警察庁「子供を守るチャイルドシート」(2026年9月8日確認)
身長150cmという目安はどこから来ているか
「150cm」は法令の数字ではなく、団体の推奨値です。出どころは警察庁のサイトに掲載されているリーフレット「シートベルト・チャイルドシートは体格に合わせ、正しい姿勢で使用しましょう!」(PDF)(シートベルト・チャイルドシート着用推進協議会発行)で、「6歳以上でもチャイルドシートを使用するなど、身長などの体格に合わせましょう」としたうえ、注記に「日本自動車工業会や日本自動車連盟においては、身長150cm未満を目安として推奨」と明記されています。
JAFも2024年9月13日の発表で使用推奨の目安を「身長150cm未満」とし、適正に座れているかの判断基準として「シートベルトが首やお腹にかからないこと」を挙げています。
なぜ体格なのか——JAFの衝突試験の数値
年齢ではなく体格が基準になる理由は、JAFの衝突試験の数値に表れています。JAFは2024年8月7日から9日にかけて日本自動車研究所(茨城県つくば市)で時速55kmの衝突試験を行い、3歳と6歳のダミー人形をシートベルトだけで座らせた場合の頭部傷害基準値(HIC値)を測定しました。
| ダミー人形 | チャイルドシート不使用時のHIC値 |
|---|---|
| 3歳 | 1149 |
| 6歳 | 1032 |
JAFはHIC値について「頭部に重大な損傷が発生する可能性がある数値である1000を超えた」「これらの値は、頭部に重篤な傷害を受ける確率が高いことを示しています」と説明しています。
注目すべきは6歳のダミーでも1032という点です。義務がちょうど外れる年齢ですが、体格が伴わないままでは頭部の傷害リスクが危険水準に達していました。体格に合ったチャイルドシートを使った場合は「強い衝撃を受けてはいるが、しっかりとチャイルドシートに拘束されていた」と報告されています。
家庭でできるセルフチェック
前出のリーフレットは、大人用シートベルトが機能する条件を「肩ベルトは肩にかけ、腰ベルトは骨盤をしっかり固定する必要があります」と説明し、「シートベルトが首やお腹にかかっていた場合、事故時の衝撃により首を圧迫したり、腹部の内臓を損傷してしまう危険があります」としています。実際に座らせて次の3点を見てください。
- 肩ベルトが首にかかっていないか(肩の中央を通っているか)
- 腰ベルトがお腹にかかっていないか(骨盤の低い位置を通っているか)
- 深く腰掛けられているか(背もたれに背中がつき、姿勢が崩れていないか)
1つでも当てはまらなければ、まだ学童用(ジュニアシート)が必要です。

ジュニアシート(学童用)はいつから・いつまで|取り付ける座席も含めて
チャイルドシートは体格に応じて3種類に分かれます。前出のリーフレットが示す目安は次のとおりです。
| 区分 | 乳児用(ベビーシート) | 幼児用(チャイルドシート) | 学童用(ジュニアシート) |
|---|---|---|---|
| 身長の目安 | 40〜85cm | 76〜105cm かつ月齢15か月以上 | 背もたれあり 100〜150cm/背もたれなし 125〜150cm |
| 年齢の目安 | 新生児〜1歳ごろ | 15か月〜4歳ごろ | 4歳ごろ〜12歳ごろ |
| 特徴 | 骨格が未発達な乳児を守るため、後ろ向きまたは横向きに取り付ける | 前向きで使用。5点式ハーネスで固定するものが多い | 大人用のシートベルトを使用する。背もたれのありなしがある |
ジュニアシートはいつから?身長100cm・4歳ごろが切り替えの目安
表のとおり、学童用(ジュニアシート)は身長100cm前後・4歳ごろからです。幼児用(チャイルドシート)の上限が身長105cmなので、そこを超えるあたりが乗り換えの時期になります。
背もたれの有無でも変わります。背もたれありは100cmから、背もたれなしのブースタータイプは125cmからで、背もたれありのほうが早くから使えます。
迷いやすいのが、6歳未満なのに幼児用の上限105cmを超えた場合です。判断は年齢ではなく体格なので、学童用に移って構いません。学童用も国の基準に適合した幼児用補助装置なので、これで6歳未満の使用義務も満たせます。義務そのものは6歳になるまで続く、という点だけ押さえておいてください。
終わりの目安は身長150cmです。学童用の欄には「6歳以上も、大人用シートベルトが安全に使用できるようになるまでは、学童用タイプの使用が望ましい」と注記されており、年齢の目安が12歳ごろまで伸びているのはこの考え方によるものです。
取り付ける座席の選び方
国土交通省と警察庁のリーフレットは、座席について次のように案内しています。
- 子どもはできるだけ後部座席に乗せる
- 助手席に取り付ける場合は、助手席のシートを一番後ろに下げて前向きに取り付ける
- 助手席に後ろ向きのチャイルドシートを取り付けることは危険
理由はエアバッグです。同リーフレットは、エアバッグは成人の体型を前提に設計されているため、体が小さい子どもには適切に機能しないことや被害を大きくすることがある、と説明しています。
製品ごとの安全性能は、国土交通省とNASVA(自動車事故対策機構)のチャイルドシートアセスメント(前面衝突試験と使用性評価・4段階評価)で比較できます。
製品の人気順よりも、乗せる子どもの体格と自分の車の座席条件から詰めるほうが、買い直しの失敗は少なくなります。車種側の条件から検討したい場合は車種選びガイド(ボディタイプ別の選び方)を参照してください。
違反したときの扱い|基礎点数1点、反則金の規定は見当たらない
6歳未満の子どもをチャイルドシートなしで乗せると「幼児用補助装置使用義務違反」になります。
基礎点数は1点です。 根拠は道路交通法施行令の別表第二「一 一般違反行為に付する基礎点数」です。座席ベルト装着義務違反や乗車用ヘルメット着用義務違反などと同じ行に「幼児用補助装置使用義務違反」が並び、点数欄は「一点」と定められています。同表の備考は「『幼児用補助装置使用義務違反』とは、法第七十一条の三第三項の規定に違反する行為をいう」と定義しています(2026年9月8日確認)。
反則金を定めた規定は見当たりません。 理由は法律の組み立てにあります。道路交通法第125条第1項は「反則行為」を「前章の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであつて、車両等の運転者がしたもの」と定義しています。ここでいう別表第二は、いま挙げた施行令の点数表ではなく、道路交通法そのものの別表第二(反則行為の一覧)です。同じ「別表第二」でも別の法令の別の表なので、混同しないでください。
つまり反則金の対象になるには、まず罰則の対象=罪に当たる行為である必要があります。ところが第71条の3には罰則規定が置かれていません(2026年9月8日時点のe-Gov法令検索で、罰則の条文から第71条の3が引かれていないことを確認しました)。そのため反則行為に当たらず、青切符による反則金も科されないと読めます。残るのは基礎点数1点という行政上の扱いだけ、という整理です。なお警察庁のチャイルドシート案内ページには、点数や反則金についての記載はありません。
金銭的な負担がないぶん軽く受け取られがちですが、実際のリスクは統計に表れています。警察庁のページによれば、チャイルドシート不使用者の致死率は適正使用者の約5.3倍です(2026年9月8日確認)。
使用率のデータが示す「盲点」
警察庁とJAFが令和7年(2025年)5月10日から6月14日まで合同で実施したチャイルドシート使用状況全国調査(PDF)では、全国平均の使用率は82.4%(前回比+4.2ポイント)でした。年齢層別に見ると差が大きく出ます。
| 年齢層 | 使用率 | 前回比 |
|---|---|---|
| 1歳未満 | 93.2% | +1.5ポイント |
| 1〜4歳 | 84.8% | +4.1ポイント |
| 5歳 | 66.7% | +8.8ポイント |
警察庁も「5歳児の使用率は他の年齢層と比べて低くなっています」と指摘しています。5歳はまだ法律上の義務がある年齢で、体が大きくなっても対象であることに変わりはありません。さらに同調査では、適切な取付けができていた割合は74.8%、適切に着座させることができていた割合は**55.6%**にとどまります。使用の有無だけでなく、取付けと座らせ方まで確認が必要です。
よくある質問
6歳の誕生日を迎えたらチャイルドシートを外していいですか
義務としては外れます。ただし判断のものさしは年齢ではなく体格です。実際に座らせて、本文中のセルフチェック(肩ベルトが首に、腰ベルトがお腹にかかっていないか)で確認してください。当たっているうちは学童用を続けるのが安全側の判断です。
タクシーやバスではチャイルドシートは必要ですか
道路交通法施行令第26条の3の2第3項第6号により、バス・タクシーなど一般旅客自動車運送事業の自動車で、その事業の旅客である幼児を乗せるときは義務が免除されます。ただし免除されるのは事業用車両の場合で、自家用車での送迎には適用されません。
祖父母の車に乗せるときはどうなりますか
免除規定に「車の所有者が誰か」という区分はありません。義務を負うのは運転者なので、祖父母が運転する場合も6歳未満ならチャイルドシートが必要です。座席の構造上どうしても固定できない場合(第1号)などに当てはまらない限り免除にはなりません。
抱っこで乗せるのは違反になりますか
チャイルドシートを使用していない状態なので、6歳未満であれば使用義務違反に当たります。安全面でも、国土交通省と警察庁のリーフレットは抱っこを「大変危険です」と明記し、「抱っこでは衝突時に子供の体重を支えきれません」と説明しています。授乳などの世話をしている間は第5号で免除されますが、それはその間に限られます。
まとめ
- 使用義務は6歳未満(道路交通法第71条の3第3項)。条文自体に「6歳未満」の語はなく、第14条第3項の「幼児=6歳未満の者」という定義で決まります
- 使わなくてよいのは施行令第26条の3の2第3項が定める8つの場合だけ。「近所だから」「急いでいるから」は含まれません
- 6歳以降は義務ではありませんが、警察庁は体格に応じた継続使用を案内し、自工会とJAFは身長150cm未満を目安に推奨しています。JAFの試験では6歳ダミーでも不使用時のHIC値が1032に達しました
- 判断は年齢ではなくベルトの当たり方。肩ベルトが肩、腰ベルトが骨盤にかかっているかを座らせて確認します
- 違反は基礎点数1点。反則金については、道路交通法に第71条の3の罰則規定が置かれておらず青切符の対象にならないと読めます(警察庁のチャイルドシート案内ページにも点数・反則金の記載なし・2026年9月8日確認)。ただし不使用者の致死率は適正使用者の約5.3倍です
数値と制度は改正で変わります。最新の内容は警察庁「子供を守るチャイルドシート」と国土交通省の自動車アセスメントで確認してください。CAR HUB NEWSでは、購入・維持・用品の判断材料を公式情報だけでまとめています。
